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鼬川
【いたちがわ】


大阪市浪速(なにわ)区内を流れていた川。浪速区敷津東1~3丁目付近から西流して木津川2丁目で木津川に流入していた。開削の経緯は不明だが,元禄16年大坂図には下難波村と木津村との境界に鼬川の名があり,上流は恵美須町地区付近に延びている。近世を通じて田畑の水路,特に悪水の排除に利用された(浪速区史)。鼬川の名について「摂津名所図会」には,「天王寺伽藍建立の時,良材ここに着しけるに依つて此名あり。其時多くの鼬出で海から運送の川を掘りけるに依て名く」とある。また,木津とは,諸国の材木を集めた津の意で,運搬用運河を鼬川と名づけた。一説に,当川の本名は河内川で,延暦年間に和気清麻呂の開削した河道跡としているが(五畿内志),史実としては,清麻呂の開削工事は不成功であったので,真偽は疑問である。明治12年になって汚水排除・耕地灌漑・通船の便などから難波入堀川との連絡水路もつくられ,また,高津入堀川とも連絡したが,その後も悪水が停滞し,昭和14~15年に大半が埋め立てられた。わずかに残った芦原橋下流付近も第2次大戦後埋め立てられ,今は道路敷に利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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