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葛城山
【かつらぎさん】


府の東南部に位置する金剛山地の一峰。標高959.7m。河内葛城山・大和葛城山あるいは北葛城山ともいう。頂上は南河内郡千早赤阪村の北東端に属し,同郡河南(かなん)町と奈良県御所(ごせ)市・北葛城郡新庄町との境界付近にまたがる。古くは戒那(かいな)山あるいは戒那ケ岳,さらには篠峰などと呼ばれた。「万葉集」巻11に「春柳葛城山に立つ雲の立ちても居ても妹をしぞ思ふ」と歌われるほか,古来春秋の景とともに詠まれることが多い。山頂には「日本書紀」雄略天皇条に見える一言主命を祀った葛城神社があり,「今昔物語」巻11に見える役小角と一言主神の伝説の舞台としても知られる。また神事物の謡曲「葛城」にも語り継がれており,古来より修験道の霊地であった。葛城山というのは,金剛山地および同山地に連なって大阪・和歌山の府県境をなす和泉山脈をあわせた山域全体の呼称であった。現在,和泉山脈中に南葛城山・和泉葛城山などと呼ばれている同名の山があるのはその理由による。主山稜は南北に長く,南は水越峠をはさんで金剛山に対し,北は竹之内峠で二上山に連なる。山体は領家花崗岩からなり,奈良県側は急斜面,大阪府側は比較的緩やかな傾斜をなす。金剛生駒国定公園に含まれ,山腹はスギ・ヒノキの植林におおわれているが,山頂付近はなだらかな草原となっている。南斜面にはツツジの大群落があり,5月ごろの開花期には見事な景観を呈する。御所市から通じるロープウエー駅のある天神の森付近にはブナの自然林が見られる。山頂からの眺望はよく,西は大阪平野・大阪湾一帯,東は奈良盆地を眼下に望むことができる。国民宿舎・キャンプ場・売店などの施設もあり,大阪近郊の行楽地の1つとして親しまれている。また,大阪府・奈良県両側から多くの登山道が通じ,主山稜には全金剛山地を結ぶ縦走路が通り,多くの登山客でにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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