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葛城山
【かつらぎさん】


和泉山脈のほぼ中央に位置する山。標高858m。865.7mの一等三角点はやや東寄りに設けられている。古くは葛木山・葛城峯につくる。大阪府・奈良県境にある金剛山地の同名の山と区別するため和泉葛城山ともいう。岸和田市・貝塚市と和歌山県那賀郡那賀町との境界付近にまたがる山。山体は他の和泉山脈中の山々と同様,和泉砂岩によって構成されている。山頂付近には準平原遺物とみられる平坦面がある。しかし,山腹には深い谷が刻まれており,壮年期に達する直前の地形で,津田川・近木(こぎ)川の水源となっている。山頂付近の北斜面にはブナの天然林が広がり,大正12年に国天然記念物に指定された。近畿地方では標高1,000m程度でないと見られないブナが,ここでは標高800~850mの範囲に分布している。近年,このブナ林などに対する自然破壊が問題となっている。頂上からの眺望は良好で,南は眼下の紀ノ川を隔てて高野山方面を望み,北は摂河泉の平野と山並みを,西は大阪湾をはさんで淡路島,さらには四国の山々まで遠望できる。葛城山は信仰の山でもあり,山頂の岳玉(おかだま)神祠は八大竜王社・石の宝殿とも呼ばれ,雨乞いの神として農民の信仰を集めてきた。祭神は高龗(たかおがみ)。「葛木縁起」「葛城嶺中記」などには,葛城二十八宿の第9,竜の宿にあてている。一説に,岸和田城主岡部氏が巨石をもって社殿をつくり,葛城一言主命を勧請したのが石の宝殿であるともいう(全志5)。江戸期の「寺社覚」によれば,境内地は社山7万6,800坪。塔原(とのはら)村・相川(そうかわ)村・蕎原(そぶら)村・河合村・木積村5か村の惣社であった(寺社書上帳)。岸和田市塔原に雨乞いの「かつらぎ踊り」が残る。




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「角川日本地名大辞典」
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