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口縄坂
【くちなわざか】


古くは「くちなざか」といった。蛇坂とも書く。松屋町筋沿いの大阪市天王寺区下寺町2丁目から夕陽丘町の高台へ上る坂。上町台地西側の急崖にできた小浸食谷を利用し,比高は約12m。当坂の名称は,坂の下から見ると道がくちなわ(蛇)に似て曲がっていることにちなむ。大坂築城の時に縄打ちを始めた土地との説もある(全志2)。坂上から谷町筋に至る一帯がもとの天王寺寺町で,眼病霊験の北山不動を祀り十三参りで知られた太平寺,航海安全の船玉神を祀る天瑞寺,桑山小粒という小児薬を出した珊瑚寺など寺院が多い。北側の虫谷を隔てた月江寺は「浪華の賑ひ」に「女僧寺なり,寺内に桜樹ありて花の頃は美艶なり,又藤の棚の茶店或は土器投げの興あり」とあり,石山合戦に際し織田信長方の佐久間信盛が守った天王寺砦址でもある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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