天王峠
【てんのうとうげ】

大阪府の最北端，豊能(とよの)郡能勢(のせ)町天王の北西方約１kmの地点にある峠。天王から兵庫県多紀郡篠山(ささやま)町福住方面に通じ，北摂山地を横断する。古くから大坂池田と篠山を結ぶ丹州街道の交通難所で，七曲り峠と呼ばれた。「摂陽群談」では脚木摺(すねこすり)峠の名で呼ばれ，「能勢郡天王村の後にあり。所伝云此所道曲り，石高く，木の根顕て足の踏所を痛む。因て脚木摺と云り。自是丹波国籾井村ニ出る峠也」とあるのも当峠であろう。摂津と丹波の境となったが，現在の大阪府・兵庫県の府県境は峠の北側の七曲りを下ったところにある。丹州街道古謡に「大坂天王七回り，身過ぎなりゃこそ一夜おき，越すは丹波のお蔵米，九里に九つ峠を越えて，いこか池田の大和屋へ」と歌われ，丹波の物産を大阪方面へ運ぶ主要ルートであった。現在は国道173号が通る。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7151757