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天保山
【てんぽうざん】


目標(めじるし)山ともいう。港区築港3丁目にかつて存在した小丘。天保2年,大坂町奉行新見正路によって安治川の浚渫が行われ,延べ10万1,250人余の労働力をつぎこんで天保3年12月に完了。この時,浚渫の土砂を積み上げて安治川河口部に長さ約200mの防波堤が築かれ,天保山と呼ばれた。当時の規模は高さ約20m,長径約200mほどであり,亀甲状の形態を示すものであった。天保山は,大坂町奉行の直轄地とし,大坂三郷に貸し付けられ,三郷は年番をもって目印山番所を置いた。その後,灯明を置き船舶入港の標識としたが,安政元年,ロシア軍艦の到来に伴い一時砲台が築かれた。しかし,この砲台も明治維新後に撤去され,現在は天保山公園となっている。天保山の北に建設された桟橋は,かつて別府および高松航路の客船の発着所としてにぎわったが,昭和40年,その発着所が弁天埠頭(港区弁天6丁目)に移った後は衰え,現在は徳島行の高速船のりばとなっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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