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二上山
【にじょうさん】


「ふたかみやま」「ふたがみやま」ともいい,南河内郡太子町と奈良県北葛城(きたかつらぎ)郡当麻(たいま)町との境界にある山。標高540mの雄岳(北側)と標高474.2mの雌岳(南側)の2峰からなり,山名もその形による。金剛生駒国定公園に含まれ,金剛山地と生駒山地の間に位置する。かつてトロイデ式火山と呼ばれたこともあるが,第三紀中新世の噴出で山の原形ができ,のちに現在の姿となった浸食地形の1つである。基盤は領家変成岩類で,その上に松香石・柘榴石・黒雲母安山岩・紫蘇輝石安山岩・流紋岩・サヌカイトが順次重なっている。この火山岩と北西の名勝地屯鶴峰(どんづるぼう)(奈良県香芝町)一帯に分布する凝灰岩を主とするドンヅルボウ層などの堆積層を含めて二上層群と呼ぶ。古くから石材の産地として知られ,サヌカイトは石器時代の利器に,松香石は古墳時代の墳墓築造に利用され,研磨材に用いる柘榴石は現在も採掘され,その粉末は金剛砂と呼ばれる。「万葉集」巻2の「大津皇子の屍を葛城の二上山に移し葬る時」という題詞が示すように,二上山は大津皇子の悲劇と深く結びついており,雄岳頂上付近に大津皇子の墓がたつ。また北麓に穴虫峠,南麓に竹之内峠が通じ,ともに河内と大和を結ぶ古代幹線道路の通過点であり,「万葉集」巻10にも「大坂を我が越え来れば二上にもみぢ葉流るしぐれ降りつつ」と歌われている。西麓の平地は「河内飛鳥」といい,古代文化の一中心地であった。今日では穴虫峠を近鉄南大阪線が通り,また,山麓一帯にはミカン・ブドウ畑が広がる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7152682