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埴生坂
【はにうざか】


丹比(たじひ)坂ともいう。羽曳野(はびきの)市伊賀3丁目から野々上(ののうえ)3~4丁目にかけての坂。南河内を南北に延びる洪積台地羽曳野丘陵の北端にある山路。古代の難波宮と飛鳥(あすか)宮を結ぶ竹之内街道が丘陵を横切る地点で,緩やかな坂道となっている。最高点は約50mで,東西いずれからも比高15m程度のわずかな起伏にすぎないが,河内平野の東南端に当たるので平野を一望できる。街道を大和へ向かう者にとって,河内・難波宮を望見できる最後の地点であった。「古事記」「日本書紀」に,履中天皇がまだ皇子のころ,住吉仲皇子からの難を逃れて難波宮から大和へのがれる途中,当坂に至り難波宮を顧望すると燃えさかる火が見え,先を急いだとある。「古事記」では「波邇布坂」と見える。坂の上に聖徳太子建立と伝えられる野中(やちゆう)寺がある。街道に接して北側に大伽藍があったが,現在は縮小してやや離れて建っている。また,丘陵を東へ下りた地点に仁賢天皇埴生坂本陵がある。街道の約700m南に来目皇子墓があり,推古天皇11年に築かれた埴生崗上墓とされるが異説もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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