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物部田池
【もののべだのいけ】


岸和田市田治米町付近にあったと考えられる池。「行基年譜」が記す池15か所のうちの1つ。同書中の溝7か所の1つに「物部田池溝」が見え,和泉国泉南郡丹比部里所在とされ,久米田池・久米田池溝と併記される。久米田池竣工の,天平10年ごろ,同時につくられた池と見られ,「和泉国神名帳」に従五位下物部布留社が見える。行基が普請した当初,当池は久米田池付近に並立してあった可能性が強い。現在の久米田池のほぼ中央を岡山町と池尻町の境界線が通じ,池東側に田治米町乙樋(おとび)の専有権が残ることから,当池と久米田池が合併された形跡をみることができる。さらに「久米田寺領流記坪記」には数次にわたる久米田池の堤の嵩上げや拡張工事の記述があり,このことからも両池の合併が推測される。また,当池からは灌漑用の溝である物部田池溝が引かれたと思われる。その所在地は,久米田池の北西,岸和田市池尻町付近と思われるが,今日では埋め立てられ,その姿は見られない。「行基年譜」によれば,「在和泉国泉南郡,物部田池尻申候」とあり,その規模は長さ60丈(約180m),広さ深さとも5尺(約1.5m)と伝えられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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