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依羅池
【よさみいけ】


「和名抄」に見える池名。住吉郡大依羅郷に属すとあり,現在,大阪市住吉区庭井2丁目の南西にわずかに残る。築造年代は5世紀頃と考えられ,東方の中位段丘や天野川の一部,さらには天野川以西の中位段丘面を流下する水を一時的に蓄え,池の北部や東部の段丘を灌漑することを目的として築造された。築造当初の広さは,「五畿内志」では「広三百余畝,或曰依網池」とし,「松原市史」では30haと推定している。また,大正10年の1万分の1地形図や「大依羅神社」「今池」の位置関係から,その面積を約60haとする説もある。しかし,享保年間の新大和川開削ののち,著しく縮小し,3万1,700坪となった。さらに宝永2年,姫路城主および明石城主が池普請奉行となるに及んで,池床が埋められ田圃と化し,今日のように縮小した。当池に関する記事は記紀にしばしばあらわれる。「日本書紀」崇神天皇62年条に「冬十月に,依網池を造る」と見えるのが初見。また応神天皇13年条中の歌に「水渟る依網池に蓴繰り……」がある。この池は,段丘上の小さな開析谷を拡張してつくったもので,土木技術の面からみると,大河川を完全にせき止めてつくった狭山池に比較してはるかに容易な工事であったと考えられる。池の北東に「延喜式」記載の大依羅神社がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7154805