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和爾池
【わにのいけ】


「日本書紀」仁徳天皇13年条に見える「冬十月,和珥池を造る」の和珥池のこと。「五畿内志」「河内名所図会」などにはいずれも「喜志(きし)村にあり」としているが,富田林(とんだばやし)市喜志地区に同名の池は現存せず,古来粟ケ池町にある粟ケ池がこれに当たると伝えられている。粟ケ池は美具久留御魂神社の一の鳥居の辺りにあるが,この神社が和爾宮の名をもつことが伝承の根拠となっている。また,「ワニ」「アワ」の転化か,あるいは和爾池と粟ケ池の2池が並存していたのが,境界の堤の崩壊で1つの池になり,いつしか粟ケ池の名称のみが残ったのではないかとの推測もされている(全志4・富田林市誌)。なお,「日本書紀」推古天皇21年11月条にも和珥池をつくると見えるが異同未詳。「大和志」は大和国添上(そえがみ)郡池田村(現奈良市池田町)にある池がこの池に当たるとする。また,「河内名所図会」は粟ケ池を「聖武天皇の御時に掘らせ給ふとなん」とするなど,和爾池の所在地・造成時期等,種々の伝承がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7154955