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芦屋川
【あしやがわ】


芦屋市を流れる川。流長3,873m。六甲山石宝殿南麓,滝ケ谷に発し,奥池からの支流池の谷・蛇谷・八幡谷などを合わせて南流し,山芦屋町で高座川と合流した後,海岸線までの扇状地を形成し,大阪湾に注ぐ。六甲山地南斜面を流れる表六甲河川の典型ともいえる河川で,上流は風化花崗岩のもろい山肌の斜面を流れ,浸食による大量の土砂を運搬して開森橋付近を扇頂とする扇状地を形成し,自らは天井川となっている。そのため,明治7年,大阪~神戸間の鉄道敷設時には川底の下をトンネルで結び,イギリスの新聞イラストレイテッド・ロンドン・ニューズに掲載され,評判となった。また,数多くの氾濫を繰り返しており,昭和13年7月の阪神大水害(六甲水害)には山崩れ168か所,土砂流出量42万2,000m(^3)に及んだ。翌年から国直轄(昭和26年より県に移管)の河川改修が始まったが,明治以来の改修,特に上流部の砂防工事により,河口部は浸食を受けるようになった。上流部五助橋断層崖下は平坦な丘陵地で,断層のくぼみを利用して奥池が開削され,昭和30年代からは芦有開発株式会社による宅地造成がなされ,高級住宅が立ち並んでいる。川は南流して再び急流となり,芦屋断層を横切る山芦屋町に水車臼跡,その少し上流に水車谷の地名がある。江戸中期より,主として菜種の絞油のために利用されてきた名残である。開森橋より下流は芦屋市の中心で,阪急芦屋川駅,阪神芦屋駅が河道を利用して設置され,JR東海道本線以南の左岸には市役所をはじめとする行政機関が並ぶ。国道43号より河口までは芦屋公園の森林と,東洋一といわれたテニスコートが続く。芦屋市は下水道普及率が99.3%(昭和58年度末)であり,芦屋川の清流が維持されているため,アマゴ・アユ・オヤニラミなど14種の魚が生息している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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