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一ノ谷
【いちのたに】


神戸市須磨区一ノ谷町にあり,鉄拐山・鉢伏山南東の急斜面に形成された若い浸食谷。東より一ノ谷・二ノ谷・三ノ谷がある。「摂津名所図会」に「一の谷は谷の広さ二十間許,高十二間。谷口より波打際まで六十間余りあり。霖雨には流水を見る。夏月夕立の跡には流れの中に鮎多く落ち来って里の童皆これを拾ふ……二の谷,一の谷より西三町にあり,谷の奥四町横幅八間,高九間,谷口より浪打際まで四十間余りあり。三の谷,二の谷より西三町にあり,谷の奥二町余り横幅十九間高九間,谷口より浪打際まで五十間余りあり」と記す。一ノ谷を有名にしたのは源平一ノ谷合戦で,平氏は一ノ谷に搦手の砦を設けた。海岸に敦盛塚が残り源平戦の浜の碑がたつ。丘陵上に内裏伝説地があり,背後の山は鵯越須磨説をもつ。明治25年英人ホール氏が家を建ててから一ノ谷~二ノ谷間の丘陵地は異人館が並び,異人山と呼ばれた。外人別荘ブームは垂水区塩屋から舞子へ広がり,須磨が高級住宅地となった。海浜護岸にJR山陽本線・山陽電鉄・国道2号が通り,高倉山団地などが出現した。また,一ノ谷川上流部の一部付替え,塩屋川放水路工事も行われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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