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猪名川
【いながわ】


県東部を南流する川。一部は大阪府との境界をなす。神崎川の支流。流長44.7km,流域面積383km(^2)。川辺郡猪名川町の大野山(753.5m)に源を発し,一庫大路次川(能勢川)・余野川・久安寺川・箕面川などを合わせ,伊丹(いたみ)市森本では藻川を分かち,尼崎市園田では再び合流して,尼崎市神崎付近で神崎川に流入し,大阪湾へと注ぐ。上流は,古代には豊富な森林資源を有し,建築材や造船材などとして切り出された。また,「住吉大社神代記」などによると,武庫川とともにしばしば洪水による被害をもたらしたようである。河川名は,古くからこの地方に住みついていた山直(やまのあたい)の名を採った阿我奈賀(あがなが)が訛ったものという説がある。中流の多田盆地は源満仲によって開発され,のちに多田源氏発祥の地となった。中流部は渓谷を形成し,猪名川渓谷県立自然公園となっており,屏風岩はその中心的存在である。さらに,一庫ダムの建設によって出現した知明湖が,この自然公園の渓谷美に湖水美をつけ加えた。猪名川が山地から平地に出るところには渓口集落が発達し,現在の大阪府池田市となっている。近世までは,この池田市付近まで舟運の便があった。下流一帯は古来から猪名野と呼ばれ,古歌にも多く詠まれている。昭和30年代後半から,中流の多田盆地を中心に,流域の丘陵地帯が急速に開発され,大阪市などの一大ベッドタウンと化した。そのため,この地域を行政区域に含む川西市は人口が急速に増加し,歴史の古い池田市をしのぐに至っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7155699