香住湾
【かすみわん】

城崎(きのさき)郡香住町北部の湾。東の大引鼻から西の三田浜まで湾口の径４km。湾の西奥部に矢田川が注ぐ。湾の中央部にはトンボロによって複式陸繋島となった市杵島の岡見公園がある。市街地はこの島から南西部へと広がり，幅200ｍ・高さ６ｍ・長さ約２kmの砂堆上に発達，南部は低湿地帯であった。島の東西は漁港で，漁獲高・規模ともに但馬最大である。冬場の松葉ガニが名高い。東奥に但馬海岸遊覧船の発着場がある。西の河口矢田には県下唯一の水産科のある県立香住高校がある。平野部の南方比高40ｍの海岸段丘は梨園で，二十世紀梨が栽培されている。湾東の今子浦には，但馬赤壁（高さ40ｍ・幅200ｍ）と呼ぶ屏風岩があり，沖合いに凝灰岩の白石島・安山岩の黒島を望む江戸期の帆船寄港地で，千畳敷と呼ばれる波食棚上には係留のための棒杭の跡が残る。また，湾全景を西に臨む展望台大引鼻がある。西の三田浜には，香住松島・弁天島を望む海水浴場があり，３km東方の道路端には漣痕化石が見られる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7156999