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甲山
【かぶとやま】


西宮市北部にある山。標高309.4m。六甲山地南東麓の北山面と呼ばれる浸食小起伏面上に位置する。山名は甲を伏せたような形に由来する。山体は斜方輝石安山岩(サヌカイト)からなり,その形状から鐘状火山(溶岩円頂丘)と考えられていた。しかし,その後の詳細な研究により,第三紀中新世の瀬戸内火山系に属する古い火山が,長期間にわたる削剥を受け,火山の火道に当たる岩頸部が浸食から取り残されて突出したものであることが分かった。古来,神山として崇められ,「元亨釈書」巻18の如意尼伝には,神功皇后が新羅に遠征して帰国した際,この山に如意宝珠・金甲冑・弓箭・金剣・衣服などを埋めたといい,また役小角の練行の旧跡でもあるという所伝を載せている。南麓に神呪(かんのう)寺があり,甲山大師の名で有名。南北朝期の文和元年には,「(赤松)則祐三千余騎ニテ,甲山ノ麓ニ向テ相戦フ」(太平記巻34)など,しばしば合戦の舞台になった。神呪寺も城郭化されて神呪寺城とも呼ばれた。天正6年11月には,織田信長の進軍に対して,近在の百姓らが「かぶと山」へたてこもって抵抗したため,信長は部将に命じてこれを攻撃させたという(原本信長記/西宮市史)。山は比較的登りやすく,山頂からの眺望も優れ,西摂平野を一望できるなど,阪神地方の行楽地として親しまれている。東麓には仁川ピクニックセンター,南麓一帯には北山貯水池や甲山森林公園がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7157096