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玄武洞
【げんぶどう】


豊岡市赤石字竹栗にある洞窟。俗に石山ともいう。山陰海岸国立公園に属する。円山川下流右岸,玄武平中腹の標高約30mにある。橄欖石の多い玄武岩からなり,六角形・五角形などの柱状節理の天然石柱に板状節理が発達し,亀甲形の石板を積み重ねた形状をみせる。洞窟は高さ5~6m,間口25m,奥行未詳,岩石の路出部分は高さ約20m,幅約35m(大正15年兵庫県史跡名勝天然記念物調査報告)。ここは昔の石切場の跡で,南北に大小5室が並列していたが,北但地震(大正14年)や鳥取地震(昭和18年)により大破,落石で洞窟の全面が埋没した。昭和42年に除石,修理を行ったが旧姿の壮大な奇観は失われた。玄武岩は当地では灘石と呼ばれ,円山川本・支流沿岸各地に運ばれて,敷石・飛石・漬物用石などに広く利用された。玄武洞の命名は江戸後期の朱子学者柴野栗山による。文化4年の城崎来湯の時,「洞中仰げば紋理亀腹の如し,縦に見れば直立垂蛇の如し」といい,天下の奇勝として紹介。また,日本地質学の開祖小藤文治郎はこの種の岩石を玄武洞にちなんで玄武岩と命名した。昭和6年国天然記念物に指定。昭和38年山陰海岸国定公園の国立公園昇格に伴い玄武洞に隣接する青竜洞・白虎洞・南朱雀洞・北朱雀洞の4洞を含む玄武洞公園として観光施設を整備。江戸後期「法眼浮木」に「いつの世にいかなる人かつくりけむ見ゆるいはやはげにたぐひなし」と詠まれている。JR山陰本線玄武洞駅とバス停玄武洞は円山川左岸にあり,ここから渡船を利用して5分の距離。昭和58年の渡船乗船者は19万7,200人。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7158174