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昆陽池
【こやいけ】


伊丹(いたみ)市昆陽池3丁目にある人工池。奈良期の高僧行基によって造られた。行基年譜によると天平3年に摂津国川辺郡を訪れ,昆陽上池・同下池など5池,溝,昆陽布施屋を設けた。このうちの昆陽上池が現在の昆陽池と推定されている。池が築かれた場所は伊丹台地の中に東西に走る昆陽池陥没帯と呼ばれる凹地に位置し,灌漑だけでなく,陥没帯での内水状態を防ぎ,池の南北の水利の安定をも考えて造られた。平安中期「後拾遺抄」の「かもめこそよがれにけらしゐなのなるこやのいけみづ上氷せり」以降歌枕として定着。築造時の規模は不明であるが,江戸期の史料によると,東西500間・南北308間とあり,約50haの広さであったと推定され,かつての稲野村の農業用水として利用されてきた。近年,周辺の都市化が急速に進み,昭和35~36年に住友系企業によって池の東部約3分の1が埋め立てられ,住友総合グラウンド,社宅となり,のちには県立こやの里養護学校が建設された。一方,都市部での貴重な自然を残そうという考えのもとに,昭和47年から同57年にかけて総合公園として,また一部を上水道用貯水池として整備が行われた。現在,全域28.5haの昆陽池公園には12.5haの自然池と4.5haの貯水池があり,自然池の中には日本列島の形をした野鳥の島が造られ,冬には数多くの渡り鳥が飛来する。貯水池は15万m(^3)の有効貯水量があり,伊丹市の上水に利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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