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雪彦山
【せっぴこさん】


宍粟(しそう)郡安富町と飾磨(しかま)郡夢前町の境界にある山。標高912.5m。揖保川の支流,林田川と夢前川の最源流部の分水界をなす。地質は中生代生野層群に属する流紋岩類,安山岩類よりなる。雪彦峰山県立自然公園に属している。山頂付近は三辻山(912.5m),洞ガ岳(ほらがたけ)(884m),鉾立峰(662m)に分かれているが,一般的には,地図上の雪彦山の南南東約1kmの洞ガ岳を呼ぶ。洞ガ岳はさらに大天井岳・不行(ゆかず)岳・三峰岳・地蔵岳などからなるが,雪彦山を有名にしているのは,不行岳・地蔵岳・出雲岩の巨大で鋭い100~200mもある岩峰・岩壁である。山腹の賀野神社は雪彦山のこれらの岩峰を御神体としている。ユースホステル・キャンプ場がある。この巨大な岩山が近代的登山,とくに岩登りの修練場として世に出るのは,大正13年神戸のロッククライミングクラブの藤木九三に見いだされてからである。岩峰のスケールは関西有数のものである。九州の英彦山,新潟県の弥彦山とともに日本三彦山と呼ばれ,修験者の道場として知られていた。山中にあった法道上人開基の金剛鎮護寺は典型的な山岳寺院であったが,明治期に廃寺となった。「今昔物語」巻13の27話には,この寺ゆかりの説話がみられる。また,南西麓の林田川斜面には甌穴群の鹿ガ壺がある。




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「角川日本地名大辞典」
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