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多紀アルプス
【たきあるぷす】


多紀連山山地・西ケ岳山脈ともいう。篠山(ささやま)盆地の北縁を東西に走る山地。西は氷上郡柏原(かいばら)町の向山(569.0m)から,東は篠山市京都府境にある櫃ケ岳(582.1m)付近までの約30kmに及ぶ。標高600~700m級の山が連なり,山頂部は急峻な岩峰をなす。中央部にある三岳(793.4m)を最高峰とし,西方の三尾山(596m),西ケ岳(726.6m),東方の小金ケ岳(725m)などが代表的な山である。地質は,中・古生層よりなるが,東西に連なる岩峰部は珪岩(チャート)よりなる。山地の北側には,ほぼ東西に西ケ岳断層崖が走り,ふもとには麓屑面の発達が著しい。この山地は,日本海に流入する由良川水系と瀬戸内海に流入する加古川水系との分水嶺になっている。平安末期から中世にかけて山岳仏教が盛んであった頃,多紀アルプスの尾根道は修験者道でもあった。東の大和大峰山に対し,西の霊峰丹州三岳山と呼ばれていた。山中から山麓に散在する寺跡,石仏,行場跡,村々の伝承などは,当時の山岳仏教の隆盛ぶりをしのばせている。現在,丹波大峰会は約350人の会員を有し,多紀アルプス山開きの日などには,三岳山上で白装束の行者姿で伝統的行事を行っている。多紀アルプス一帯は野生猿・猪の生息地として,また頂上付近にはシャクナゲ・イワカガミ・ヒカゲツツジなどの高山系植物の自生地として知られている。また,その風景は四季の変化に富み,多紀連山県立自然公園に指定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7160385