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但馬御火浦
【たじまみほのうら】


城崎(きのさき)郡香住町の伊笹岬から,浜坂町の鬼門崎に及ぶ海岸。全長約7.5km。伊笹岬~三尾の一帯は第三紀豊岡累層気比火山岩層からなり,この地層を切る断層や節理が走り,貫入岩脈といわれる流紋岩や玄武岩に海食が進む。昭和9年国名勝天然記念物に指定され,3~10月は観光船が周航する。東から,釣鐘洞門,十字洞門,地獄極楽洞門,鋸岬,三尾ノ松島,下荒洞門,三尾ノ大島,通天洞門などがあり,但馬海岸中で最も変化に富む海岸として知られる。伊笹岬の西750mに位置する釣鐘洞門は,40°の角度で交差した2つの洞門の交差部にできた釣鐘状の洞門。洞内は昼なお暗く,コウモリなどが生息する。十字洞門は釣鐘洞門の西400mの小さな岬の先端部にあり,2つの洞門が40°で交差してできた岩脈型の洞門。十字洞門の西隣にある地獄極楽洞門は,入口部分で50°で交差する2つの洞門。右側は光が入らず暗いところから地獄洞門,天井から光がさし込むところから極楽洞門と名付けられた。鋸岬は,浜坂町と香住町を境する長さ500m,幅最大100m,高さ30mの北に突き出た細長い岬。鎧ノ袖流紋岩と角礫岩からなり,頂部が鋸状に浸食されていることから名付けられた。岬の中央部に,東西2つの洞穴からなる旭洞門がある。西側の洞門は窓状の洞穴を有し,朝日の眺めが美しいことからこの名がある。先端部は魚釣りの適地。鋸岬西方の入江には,松島(三尾ノ松島)・天子岩などが散在する。後鳥羽上皇が海路暴風避難のため,天子岩に休泊したと伝える。三尾松島の西,集塊岩と粗面安山岩との接触面にできた下荒洞門は,洞内が広いため遊覧船の通行ができる。三尾ノ大島は三尾湾口にある周囲300mの小島。粗面岩質流紋岩の柱状節理が発達し,日和山との間の早瀬では,六角柱の美しい柱状節理が一面に広がる。中に柱状節理を横にしたような玄武岩の岩脈がみられ,下荒洞門付近までの一帯で柱状節理が発達する。三尾ノ浜西端にある通天洞門は,粗面岩質流紋岩の岩脈と,その中にできた玄武岩の岩脈が崩壊してできた洞門。入口部分で天井が抜け,空が見えるため通天洞門と呼ばれる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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