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氷ノ山
【ひょうのせん】


養父(やぶ)郡大屋町・関宮町と鳥取県若桜町にまたがる山。標高1,510m。鳥取県側では氷ノ山,兵庫県側では「ひょうのやま」と呼称されていたが,昭和54年度国土地理院発行の地図では氷ノ山に統一された。中国山地東端にあたり,大山に次ぐ高峰で,県下の最高峰。第四紀更新世の火山活動によって流出した氷ノ山安山岩で構成されて,山頂部にこしき岩の奇岩もある。山の斜面は北および西側が急斜面となっているが,南および東側は緩やかな斜面が続き,南東斜面の標高1,490m付近に古生沼があり,高地湿原植物群落地として県天然記念物に指定されている。山麓部から山頂へかけてはブナ・ナラ・トチなどの原生林やチシマザサなどの高山性植物が繁茂し,イヌワシが生息するなど,自然が残され,氷ノ山後山那岐山国定公園に指定されている。近年,県営広域基幹林道瀞川氷ノ山線の建設工事が行われ,自然破壊がひどく,地元有志と自然保護団体が,昭和48年2月氷ノ山の自然を守る会を結成した。登山,ハイキング,スキーなどの山として親しまれている。登山の歴史は,大正12年の冬,西堀栄三郎らが初めて同地の鉢伏山へ登り,翌年神戸の水野祥太郎,さらに藤木九三,小川正十郎らが氷ノ山へ登ったのがスキーによる登頂の幕開けといわれる。登山コースとしては,兵庫県側では福定・大久保から地蔵堂―氷ノ山越―こしき岩―頂上,東尾根―神大ヒュッテ―千本杉―頂上,大屋町横行から大段ケ平―神大ヒュッテ―千本杉―頂上,宍粟(しそう)郡波賀町戸倉からのコースなどがある。また麓の鳥取県側に氷ノ山スキー場,関宮町側には氷ノ山国際スキー場がある。深く刻まれた谷筋は峡谷となり,布滝,不動の滝などもできて美しい景観をつくっている。また古くから信仰の山としても知られ,山頂には5か所にわたり須賀神を祀る神地の神籬(ひもろぎ),磐境(いわさか)の遺跡がある。12月から3月にかけての降雪は多く,樹氷などもでき人々を寄せつけない厳しさのある山で,山名は冬の厳しい山の様子から名付けられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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