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妙見山
【みょうけんさん】


養父(やぶ)郡八鹿(ようか)町・関宮町と美方郡村岡町にまたがる山。標高1,139m。氷ノ山後山那岐山国定公園の一画を占める。北但層群の砂岩・頁岩からなり,妙見林道の断層には二枚貝・巻貝・植物化石が多く見られる。山腹の標高800mに延喜式内社名草神社があることから,名草山ともいう。所在地が八鹿町石原であるため,石原山ともいう。名草神社の祭神は名草彦命。「国華万葉記」に「当社の御神は,星の神,北辰也」とあるように平安末期より妙見信仰の場として栄えた。ゆえに,妙見社の名でも呼ばれてきた。境内の三重塔は国重要文化財に指定されている。その前にそびえる大スギは,妙見の大スギとして国天然記念物になっている。地上7mの所で2本の幹に分かれているので「夫婦スギ」とも呼ばれている。中腹から山頂付近には,ブナの原生林をはじめ,自然の植生が比較的よく保存されている。妙見スギは耐寒,耐雪性に富み,光沢美しく,質も強く用材としての評価が高い。出雲大社の「寛文造営記」には妙見スギの寄進に対し,三重の塔が贈られた記録がある。大正初期よりの本格的伐採のために妙見スギの天然林は順次,姿を消し,今は名草神社神域に残るのみである。明治の神仏分離まで,同じ地にあった帝釈寺はふもとに降り,成就院と合併して日光院となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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