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武庫川
【むこがわ】


県の南東部を流れる川。流長65.436km。篠山市大沢付近に発し,三田(さんだ)市・宝塚市・西宮市を経て大阪湾に注ぐ。支流には青野川・乙原川・羽束川・有野川などがある。上流は藍本川とも呼び,車瀬川・三田川と呼んだこともある(摂津名所図会)。川名は下流の武庫郡にちなむ。中流の,三田~宝塚間では250mの深さの峡谷をなして流下し,先行性河川と考えられる。上流部には篠山(ささやま)盆地,中流部に三田盆地,下流には大阪平野がある。篠山盆地では武庫川は篠山川と谷中分水界で接するが,段丘地形の検討などから,篠山川がかつては武庫川に流れていたことがわかっている。「丹波志」によると,現在,篠山市味間を流れ,篠山川に注いでいる住吉川は当時武庫川に属していた。篠山市杉の開村以降,排水の改良のため,武庫川の最上流部はしだいに篠山川に取り込まれ,現在の水系が生まれた。明治の初め,この分水界付近では田松川運河が建設された。運河そのものの寿命は短かったが,現在の武庫川の最上流部にある田松川はこの後身である。下流部で武庫川は枝川・申川に分流していた。大正期の河川改修に際し,これらは廃川となり,その跡地を利用して甲子園球場・阪神パークがつくられた。この河川は都市の水源としての役割も期待されるが,流域の山地が浅いうえに,内陸の瀬戸内式気候に属しているため,降水量が少ないことから,しばしば渇水に見舞われている。しかし,千刈水源池が神戸市の水源として大正10年に完成したのをはじめ,最近になって川下ダムなどの貯水池が建設され,また,青野ダムのように建設途上のものもあり,利水上顕著な変化が生じている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7164279