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生駒山地
【いこまさんち】


県の北西縁に位置し,大阪府と奈良県の府県境を南北走する山地。北は大阪府交野市の東縁部に起こり,主峰をなす生駒山付近から稜線が府県境となり,高安山を経て南は北葛城郡王寺町と大阪府柏原市との境界ともなる大和川の亀ノ瀬の峡谷に終わる。山地は全般に花崗岩および片麻岩よりなるが,生駒山は堅牢な斑糲岩よりなり,ドーム状の残丘として稜線上に突出している。生駒山の北方では400mから300m内外の標高を示す浸食小起伏面が良く発達し,生駒山南方の稜線においては500mから400m程度に小起伏面があり,全般に定高性のある稜線が連続する。一方,南北走する山地の東西両斜面は著しい対照をなし,大阪府側の西斜面は急峻な断層崖を連ね,東斜面は数段に分かれる小起伏面を発達させながら生駒谷に緩斜している。生駒山東麓の緩斜面には生駒市街地の一部が展開し,生駒郡平群(へぐり)町・三郷町においても山麓部に住宅地の造成が盛んである。また平群町においては東方に緩斜する小起伏面上に福貴畑・久安寺・信貴畑などの農業集落がみられ,ほとんど主稜線にまで達する狭長な谷底平野には水田が開かれるほか,花卉の栽培が盛ん。生駒山の東中腹には生駒聖天として知られる宝山寺があり,山地南部の信貴山には縁起絵巻で有名な朝護孫子寺がある。近鉄奈良線の生駒駅からは宝山寺を経て山上の遊園地に至るケーブルカーがあり,生駒の山上からは稜線沿いに信貴山方面に続くドライブウエーがある。大阪と奈良を直結する阪奈道路は生駒山北側の小起伏面上で山地を横断しているが,国道308号(奈良街道)は生駒山南方の鞍部の暗峠を通り,峠付近では風情ある石畳を残している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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