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生駒山
【いこまやま】


生駒市菜畑町にある山。県北西部と大阪府との境をなす生駒山地の主峰。標高642.3m。鬼取山ともいう。古代には胆駒山(書紀),射駒山・伊駒山(万葉集),中世には生馬・往馬などとも書き,「いくま」「いくめ」などと発音したこともあり,「くま(隈)」は大和の北西端を意味する。山名は駒山・伊駒山の転訛説が有力で,応神天皇の頃,百済の王から献上の馬を放牧した故事に由来するとされる。一説に「こま」は朝鮮地方の高原を意味する言葉ともいう。生駒山地は花崗岩からなるが,山頂部は硬い斑糲岩であるため,当山は浸食に取り残されて高くなった残丘と考えられている。また山地の西側は大阪平野に向かって急傾斜しているのに対し,奈良盆地に臨む東側は緩傾斜しており傾動地塊と考えられてきたが,近年では褶曲山地説が有力となっている。現在,山頂には遊園地・テレビ塔・マイクロウエーブ中継所・京都大学天文台などがあり,東側山腹には役行者および空海の修行場と伝えられる宝山寺もあり,聖天さんの名で親しまれている。山嶺には,生駒山ドライブウエー・信貴生駒スカイラインが通る。元来,生駒山は奈良平城京と大坂難波の港との中間にそびえるため,早くよりその標識として親しまれ,和銅5年には高見烽が山頂に設置された。近世に入り,宝山湛海が延宝6年宝山寺を興し,生駒聖天を祀り,庶民の信仰を集めると,次第に門前町が発達した。大正3年近鉄奈良線が開通するまでは,生駒詣は峠越えを行い,幕末には宿場・茶屋が繁盛したことが史料に見える。生駒山地の鞍部には,磐船越,清滝越(上鳥見路),竜間越,辻子越(日下の直越),暗越,十三峠越,信貴越,竜田越など著名な峠越えが多かった。近年,大規模団地の造成が進み,大阪市と直結する第2阪奈道路の敷設計画と相まって大規模な京阪奈総合開発団地造成の構想がある。付近一帯は,金剛生駒国定公園に属する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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