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妹山
【いもやま】


吉野郡吉野町にある山。吉野川を挟んで,右岸の河原屋に妹山,左岸の飯貝に背山がある。標高は妹山260m,背山272m。洪積丘陵が吉野川の南北両岸に迫り,その両端に基盤岩の小山を露出して川の浸食から背後の丘陵を保護している。妹山は古来大名持神の鎮座する山とされ,さらに奈良の都から吉野への出口にあたり交通の要衝地であったことから信仰が篤かった。「大穴道少御神の作らしし妹背の山を見らくしよしも」(万葉集1247),「流れてはいもせのやまのなかにおつる吉野の河のよしや世中」(古今集828)などの歌がある。妹背山の風景を舞台にした浄瑠璃に「妹背山婦女庭訓」がある。妹山は全山原始林におおわれ,ツルマンリョウ・ルリミノキ・テンダイウヤク・ホングウシダなどの暖地性群落が繁茂,妹山樹叢として国の天然記念物に指定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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