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大滝
【おおたき】


吉野郡川上村の吉野川上流域に位置する。西北西流していた吉野川が,鋭角に曲がって北東に向きを変えるところで,河床に岩盤が露出して瀬となり,まるで滝があるように見える。「万葉集」巻9の兵部川原の歌に「大滝を過ぎて夏身に近づきて清き川瀬を見るが清けさ」(1737)と詠まれる大滝を当地に比定する説がある。「大和名所図会」に「この滝は急流にて,水勢岩に触れて漲り落つるなり。よのつねのごとく岩上より流れ落つるにあらず。ただ岩間を漲り沸くこと美観なり。近くより見るべし,遠く眺めては賞するにたへず。筏人ここを難路とするなり」と説明される。なお,清和太上天皇御頭陀歴覧13か寺のうちに「大滝寺」の名が見え(三代実録元慶4年12月4日・同5年正月7日条,扶桑略記元慶4年12月4日条),現在の川上村西河にある仏竜寺跡に比定される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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