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葛城山
【かつらぎさん】


御所(ごせ)市と大阪府千早赤阪村との境にある山。南北に連なる葛城山脈のうち,中央部を区切る水越峠の鞍部以北をいう。南側に山頂部があり,北へ向かうほど低くなる。標高960m。東側は断層崖をなし急斜面となっているが,大阪側はゆるやかに傾斜し,傾動地塊の形態を示す。東側には山麓部に扇状地が形成されており,鴨山口神社・一言主神社・火雷神社などがあり,中腹には戒那山安位寺(戒那千坊)の遺構がある。葛城山の名称はかつて金剛山を含む総称として用いられた。古くは戒那山・篠峰・天神山とも呼ばれた。第一峰は高天山と称し(大和名所図会),金剛山の別称は金剛砂を産出したことによる(大和志料)。貝原益軒の「和州巡覧記」には,「篠峰の南にあり。篠峰より猶高き大山也。是金剛山也。山上に葛城の神社有。山上より一町西の方に金剛山の寺あり。転法輪寺と云。六坊有。山上は大和なり。寺は河内に属せり。婦人は此山に上る事をゆるさず……此山に登れば,大和,河内,摂津,其外諸国眼下に見ゆ」とある。現在,大和川からロープウエーが通じ,山頂には広々とした草原のほか,食堂や国民宿舎がある。山頂のロープウエーの駅付近のブナ林の中に天神社が祀られている。「万葉集」には,「青旗の葛城山」「葛城山に立つ雲」「葛城の山の木の葉」と詠まれ,「葛城の高間の草野」のように葛城山の中腹に位置する高原によって,葛城山を代表させる場合もあった。その後も諸歌集に葛城山は歌われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7166175