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金峰山
【きんぷさん】


「きんぷせん」ともいう。大峰山脈の北方,南北に連なる峰の部分で,吉野川南岸の六田(むた)から吉野山を経て山上ケ岳に至る山々の総称。吉野郡の吉野町中央部から同町と川上村の境から黒滝村・天川村と川上村・上北山村の境の部分を構成する。その範囲は北から南へ高城山(702m),青根ケ峰(858m),四寸岩山または守屋岳(1,235m),大天井ケ岳(1,439m),山上ケ岳(1,719m)などが連なる。青根ケ峰までの尾根筋が吉野山であり,金峰山に対して山下とされ,頂上の山上ケ岳の山上と区別した。両者を合わせ金御岳と称した時期もある。御岳信仰の霊地であり,修験の世界としてもひらけた。その発端は役小角が葛城山で修行し,葛城山から橋を架けようとした吉野の金御岳へ修行の場を移し,山上ケ岳で修行をするうち金剛蔵王菩薩を感得したことにあったとされる。蔵王堂は白鳳期には創建されたとされ,その後3度焼失し,現在残るのは室町期のもの。蔵王権現の姿は桜の木に刻まれたため桜は御神木とされ,信者の手によって増やされて現在は桜の名所になった。修験道は熊野信仰と結びついて平安期から鎌倉期にかけて隆盛し,現在は山下にあたる吉野のやせ尾根上には多くの坊が立ち並び,山上にも36坊を数える。春の桜の開花時を中心にした観光地となり,特に吉野山は尾根筋の坊の間を門前町が埋めている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7166625