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蜻蛉の滝
【せいれいのたき】


吉野郡川上村西河にある滝。「せいめいのたき」ともいい,清明ガ滝(和州旧跡幽考),蜻螟(せいめい)ガ滝(和州巡覧記)とも書く。また「大和志料」には西河滝・白糸滝とも見える。吉野川の支流音無川上流にかかる大瀑水。滝名の由来は「和州旧跡幽考」巻11の吉野郡の項によると「清明ガ滝といふあり,是は蜻蛉(かげろふ)ガ滝といふなるべきをあやまれるとおぼえ侍る猶,おもふに蜻螟(せいめい)もおなじ虫なれば文字をたがへきたりて清明ガ滝とかけるにや」とあり,また貝原益軒の「和州巡覧記」には「清明が滝,此下の辺蜻蛉の小野とて名所なり,しからば蜻螟が滝なるべきをあやまりて清明が滝と書なるべし」とある。滝のある辺りを蜻蛉の小野というところから蜻螟が滝,清明が滝に変化したと思われる。「続後撰和歌集」に「世々を経て絶えじと思ふ吉野河ながれて落つる滝の白糸」と詠まれ,また,松尾芭蕉は「笈の小文」に「ほろほろと山吹ちるか滝の音」とこの瀑水の壮観さを詠んでいる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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