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千股川
【ちまたがわ】


竜門山地の芋峠南東斜面に源を発し,吉野郡吉野町内を南流,千股の集落を通り,上市の桜橋約150m上流で,吉野川に注ぐ。1級河川。流長4.5km,流域面積4.7km(^2)。「県史」は,千股を道路の分岐をあらわす地名と推定している。この河谷は,奈良盆地南部の飛鳥地方と吉野地方を結ぶ近道として古来重要で,高市郡飛鳥村(現明日香村)岡に至るところから,岡街道とも呼ばれた。天武天皇・持統天皇の頃,吉野離宮への交通には,この道が使われたのではないかと,「吉野町史」は述べている。中世以降,飛鳥地方と吉野山・大峰山を結ぶ道として,盛んに用いられた。明和9年の坂本家文書には,「千股は小高の村で百姓の間に旅人宿をする者八軒あり」とある。明治初期にも奈良盆地から上市への物資移入の主要道であり,特に米は重要で,毎日30~40頭の牛馬が行き来した。しかし,大正元年に吉野軽便鉄道が吉野口から吉野(当時は六田)に開通して以降,この交通路は衰微した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7168046