100辞書・辞典一括検索

JLogos

13

天ノ川
【てんのかわ】


十津川の最上流部をなし,吉野郡天川村の山上ケ岳北西斜面に源を発して西流し,トサカ尾山北西で川迫川と弥山川を合流し,次いで御手洗で山上川を合流するが,ここから下流を天ノ川と称する。同郡大塔村に入って,十津川と名称を変える。川迫川の源流神童子谷から,天川・大塔村界までの長さは約35km。近畿地方最高の山岳地帯から流れ出すので,河谷は急峻なV字谷をなし,多くの渓谷・滝を形成する。坪内の繞谷丘陵上には,日本三弁天の1つ天河神社がある。「夫木抄」に「吉野山花やちるらんあまの川雲のつつみをあらふ白なみ」の1首があるが,「地名辞書」はこれを,吉野天ノ川の詠としている。明治22年8月の水害は死者10人,流失・全壊19戸と被害甚大で,村民115名の連署をもって北海道移住を知事に嘆願したが認められなかった。さらに,昭和28・34年の水害も大きな被害をもたらした。昭和12年九尾(つづらお)に九尾ダムがつくられ,和田の和田発電所さらに大塔村の長殿発電所にトンネル送水されている。川迫川には昭和19年川迫ダムが築造され,川合発電所へトンネル送水されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7168194