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巻向山
【まきむくやま】


桜井市内,三輪山の北東にある山。標高567m。笠置山地に属し,東方は初瀬山,北東部は巻向川上流により鞍部をつくり,北は竜王山に続く。山頂は弓月ケ岳と呼ばれ,「ゆつき」は弓槻・斎槻とも書き,神聖な槻の木が生育し,弓の良材とされていたと伝えられる。「万葉集」巻7に「みむろのそのやまなみに子らが手を巻向山はつぎのよろしも」,柿本人麻呂は「痛足川川波立ちぬ巻向の弓槻が岳に雲居立てるらし」,同じく「あしひきの山川の瀬の響るなべに弓月が岳に雲立ち渡る」と詠んでいる。「金槐集」「光経集」「続古今集」などにも表れる。山麓の農村からは雨乞の山として信仰されている。室町中期には興福寺別院の長谷寺の寺領となり,この山の年貢20貫文が長谷寺から興福寺に納められている(寺社雑事記)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7169450