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南淵山
【みなぶちやま】


高市郡明日香村稲淵の東にある山。標高356m。飛鳥川の源流部にあたる。「万葉集」巻9に「御食向ふ南淵山の巌には落りしはだれか消えのこりたる」(1709),また巻10に「真十鏡南淵山はけふもかも白露をきて黄葉ちるらん」の2首があり,「井蛙抄」には「五月雨に渡るあさせもなかりけり南淵山の谷の川水」と詠まれている。「書紀」には天武天皇による南淵山および細川山の樹木の伐採禁止の勅令が記されており,当山周辺は飛鳥地方の重要な水源であったことがうかがえる。稲淵には南淵請安の墓がある。請安は7世紀の学者で小野妹子に従って隋に赴き,約30年滞在後に帰朝してからは当地に住まい,中大兄皇子・中臣鎌足らに周孔の教えを伝授し,大化改新に影響を与えたといわれる。稲淵から栢森を経て芋峠に至る道は,飛鳥と吉野を結ぶ最短の道である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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