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耳成山
【みみなしやま】


耳梨山とも書く。橿原(かしはら)市木原町,奈良盆地南部にある山。標高140m。畝傍山・天ノ香久山とともに大和三山の一つ。山体はトロイデ状をなし,含柘榴石安山岩からなる。生成当時の原形ではなく,山頂の陥没と浸食による残丘と考えられている。「万葉集」巻1の藤原宮の御井の歌によれば,藤原宮の北側の御門の彼方に耳成山が鎮座していたことがわかる。また,中大兄皇子の作と伝えられる三山間での妻争いの歌は有名である。「古今集」には「耳成の山のくちなし得てしがな思ひの色の下染にせむ」とあり,クチナシの花が群生していたらしく,付近にはくちなしの原の小字名が残る。山腹の北側には安産祈願の天神社(耳成山口神社)があることから天神山とも称される。山麓にあった耳無池は「万葉集」巻16に「耳無の池し恨めし我妹子が来つつ潜かば水は涸れなむ」と歌われ,3人の男に求愛され,思いの余りに入水自殺を図った縵児の伝説がある。現在,南麓にある通称古池は後世のもので,また山麓には新興住宅が立ち並んでいる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7169709