吉城川
【よしきがわ】

宜寸川・宜木川とも書く。奈良市内を流れる川。春日山原始林に源を発し，若草山と御蓋山の間の谷を流れ，水谷神社の北を西流する。流長約2.5km。佐保川の支流にあたる。この吉城川上流部を水谷（水屋）川とも称する。春日野に入り東大寺南大門の南の小橋の下を流れる。橋の東側，川の中に吉城川の碑がたつ。東大寺南大門西側の依水園は当川の水を取り入れている。さらに奈良市街地を流れるが，一部は暗渠となり奈良女子大学の北側で佐保川に合流する。「万葉集」に「我妹子に衣かすがの宜寸川よしもあらぬか妹が目を見む」（3011），「夫木抄」には「水屋川末せきかけて春日野の野田のさなへは今日ぞとるなる」と詠まれている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7170048