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竜穴
【りゅうけつ】


宇陀郡室生村室生にある,室生竜穴神社背後の渓谷上にある岩窟。伝承によれば,室生山には3竜穴があり,持宝吉祥竜穴・妙吉祥竜穴・沙羅吉祥竜穴と称する。竜穴の底には池があり,左右に穴があく。左の穴の奥には石戸や大岩が存在するという(室生山記/大和志料)。この洞穴には,雨雲を支配する竜が住むと考えられ,竜穴信仰は室生山寺が真言密教化するに伴い拡大された。また,竜穴は大国主の嫡后須世理姫命が隠れた場所とも伝承される(赤埴白岩社記/大和志料)。「延喜式」神名上宇陀郡17座のうちに「室生竜穴神社」が見え,貞観9年に従五位下「檉生竜穴神」に正五位下(三代実録貞観9年8月16日条),また延喜10年には祈雨の験あるにより従四位下を(紀略延喜10年8月23日条),応和元年には正四位下をそれぞれ与えられている(紀略応和元年8月14日条)。弘仁9年,使者を山城国貴布禰神社と「室生竜穴」などに派遣して雨を祈らせたとあるのが初見だが(紀略弘仁9年7月丙申条),その前年には律師伝燈大法師修円を室生山に遣わして雨を祈らせている(紀略弘仁8年6月庚申条)。以後,同社での雨乞記事は多く見える(長保4年6月15日官宣旨/類聚符宣抄,百錬抄仁治元年7月14日条)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7170103