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竜門山地
【りゅうもんさんち】


県の中央部を西流する吉野川の北に位置する山地。山地内の南に偏して東西に延びる主稜線は宇陀郡・桜井市・高市郡・御所(ごせ)市と吉野郡との境界をなす。南縁部は吉野川構造谷に面して直線状に東西に延びる急峻な断層崖を連ね,北縁は北東―南西方向を示すやや屈曲した山麓線をもって奈良盆地に接する。東縁は南北に連なる急斜面を示して宇陀盆地に落ち込み,全体として平面的にみれば東に広く西に狭い三角形状を呈している。主峰竜門岳は吉野河谷に面する断層崖の東部に偏して突出し,断層崖頂を連ねる主稜線上の山峰は西に向かって竜在峠三角点(752.5m),高取山と次第に高度を下げ,芦原峠以西においては標高400m以下となる。一方,山地の東部は標高が高く竜門岳の北方に熊ケ岳・経ケ塚山・音羽山が連なる。竜在峠から北方に派出し寺川と飛鳥川の源流部の分水界をなす尾根には御破裂山があり,山地は全体として北西方向に高度を減ずる傾動地塊をなしている。地質よりみると花崗岩あるいは閃緑岩類の深成岩よりなり,中央構造線に沿う南縁部には圧砕岩が分布する。山地内には東西,北西―南東,北東―南西の小断層あるいは大規模な節理に規制された直線状の谷がみられる。小規模な浸食小起伏面,あるいは深層風化を受けた花崗岩地域における古い地すべりに基づく緩斜面が山頂付近や山腹にみられるところがあり集落をのせている。高取山には中世の山城由来の城跡があり,壺阪峠付近に壺阪寺がある。御破裂山の南の多武峰は紅葉の名所として名高く,藤原鎌足を祀る談山神社がある。奈良盆地と吉野地方を境する当山地には古代以降,峠越えの諸道が通じ,竜在峠・芋ケ峠・壺阪峠・芦原峠がある。文武・持統朝には,飛鳥と吉野離宮を結ぶ主要ルートであった芋ケ峠越えの古道は,今日では自動車で越えることができ,国道169号は芦原峠の直下をトンネルで抜けている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7170116