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和泉山脈
【いずみさんみゃく】


葛城山脈ともいう。西南日本中央構造線の北側を東西に走行し,大阪府・和歌山県境をなす内帯山地。本県側の南面は紀ノ川河谷に急斜する断層崖をつくり,北の大阪府側では階段断層の緩斜面となる傾動地塊状の地塁山地である。従来大阪府と奈良県を画する金剛山地を葛城山脈としたのに対し,当山脈を南葛城山脈または和泉葛城山脈と名づけたり,両山地を併せて葛城山脈と呼んだ場合もある。紀ノ川河谷に沿ってその北岸地域を,金剛山地との境をなす紀見峠から西走し,和歌山市加太で紀淡海峡に没するまで,約50余km,幅約10kmにわたり延びる。本県側では和歌山市・橋本市・伊都(いと)郡・那賀郡にまたがる。連峰群の高度は,東から三石山(738.6m)・岩湧山(897.7m)・南葛城山(922m)・灯明岳(857m)・三国山(885.5m)・大石ケ峰(860m)・葛城山(858m)と,おおむね800~900mの各主峰群が続く。各峰は,主峰葛城山頂付近の紀泉高原のように平頂峰が多く,隆起準平原であったことを示す。葛城山頂の北面一帯(大阪府)約8万m(^2)に広がるブナ林は,大正12年3月に国の天然記念物に指定された。これはわが国の低山地に自生するブナ林としては,最南端の自然林。葛城山以西は,大阪府下の高城山(569m),三峰山(576.5m)・四石山(384.4m)と次第に高度を下げる。四石山から飯盛山(384.5m)までは,比較的高い雲山峰(490.2m)などもあるが,おおむね小起伏山地である。さらに紀州街道の通る孝子(きようし)峠以西は,ほぼ250m以下の丘陵性山地となり,加太・瀬戸で海に没する。本体の地質は主に花崗岩を基盤にして,その上部は和泉層群といわれる中生代白亜紀の和泉砂岩で構成されている。かつて当山脈は紀伊と河内・和泉の国境をなし,三国山がその交界点となった。古来,各地域を結ぶ峠道が発達した。紀伊~河内間の要路として,高野街道の紀見峠および蔵王峠,紀伊~和泉間には東から,鍋谷峠,根来(ねごろ)街道の風吹峠,熊野街道の雄ノ山峠,紀州街道の孝子峠などが開通し,利用されてきた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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