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井関峠
【いせきとうげ】


和歌山市六十谷(むそた)の北約4km,千手川上流和泉山脈の分水嶺にかかる峠。標高309.4m。当峠から北進すると大阪府阪南町桑畑,尾崎に達する。本県側は傾動地塊の急斜面に当たるため主要道路は敷設されていないが,近世には西の孝子(きようし)峠越え,東の雄ノ山峠越えの間道的役割を果たしたらしく,「続風土記」によれば往来改の番所が設置されており,藩が重視するほどの通路であった。明治初期にはいち早く県費補助道路に編入された。また,峠は役小角が開創した修験道場葛城二十八宿とともに切り開いた山脈横断路二十八ケ所越えの1つと伝えられ,「諸山縁起」にいう「堰の宿(いせきのしゆく)」は当峠付近にあった修験の宿とされる。周辺には墓の谷行者堂・籤法ケ岳(くじほうがたけ)・大福山など小角ゆかりの行場が多い。元来,峠は国境線に位置したが,元禄14年の泉州鳥取郷と紀州直川(のうがわ)村との入会山に関する争論が生じ,紀州側の言い分が通って国境線が泉州側に1kmほど押しやられる結果となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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