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煙樹ケ浜
【えんじゅがはま】


日高郡美浜町の日高川下流の沖積平野(日高平野)南西部にある浜。海岸線は延長約5km,幅50mの松林となっている。当浜を含んで周辺一帯に砂丘が発達する。海岸線に並行してできた新旧2列の砂丘は砂嘴の成長したもので,古日高湾を閉塞して成長した。形態は多少湾内に向かって弓形に湾曲する。この砂州が相当古い時代に成立したことは,付近の吉原に弥生遺跡があることによってもわかる。現在,砂丘には和田・松原の集落がある。煙樹ケ浜に松が生い茂るようになったのは,和歌山藩初代の藩主徳川頼宣(南竜公)の入藩からである。南竜公頼宣は御留山として松林の育成保護に取り組んだ。宝暦年間になると風潮除としての松樹はもちろん,雑木類まで一切伐採を禁じ,さらに下草落葉の採取や住居・道路の新設等を堅く禁じ,厳しい取締りを行うようになった。このように日本一の松林は長い歳月と住民の努力によったものである。現在この松林内には国立和歌山病院・中学校・陸上自衛隊・町役場等が点在し,昭和29年には県立自然公園に指定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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