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大雲取山
【おおくもとりさん】


紫金山ともいう。東牟婁(ひがしむろ)郡那智勝浦町の北部にそびえ,同郡熊野川町と新宮市にまたがる山。標高965m。那智勝浦町および紀南地方の最高峰。第三紀層の卓越する熊野地方において,熊野酸性岩からなる。当山を越え,妙法山と本宮(ほんぐう)を結び中辺路(なかへち)に含まれ,熊野三山詣での道として,大化5年につくられたと伝えるが,今は廃道に近い。熊野街道中,大雲取越えは最大の難所とされ,藤原定家の「明月記」には「終日超嶮岨,心中如夢,未遇如此事,雲トリ・紫金峰如立手,山中只一宇有小家……此路嶮難,過於大行路,不能遑記」と記している。古くは雲鳥山とも書いたが,流れる雲に手が届くほど高い山の意と伝える。山頂には3等三角点があり,昭和37年6月に高さ50mの巨大なパラボラアンテナが建設された。これは電電公社新宮統制無線中継所が管理し,紀南地方の市外・船舶・災害非常用電話の基地として重要な施設で,大雲取越え街道の地蔵茶屋跡(大正10年ごろまであった茶屋)から車道が通じる。山頂は那智湾から直線距離約10kmにあり,海岸線の新宮・勝浦・太地(たいじ)・潮岬(しおのみさき)を眼下に一望できる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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