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重畳山
【かさねやま】


重山とも書き,笠山とも呼ぶ。東牟婁(ひがしむろ)郡古座(こざ)町西向にある山。標高301.8m。新第三紀層に属する山地。紀伊半島の最南端部の海岸沿いに低平な段丘が発達しているが,その中にひときわ目立つ山。現在でも,潮岬(しおのみさき)はるか沖合いに出漁する漁師たちは自船の位置を知る手がかりとし,山にかかる雲の有様を見て天候を予知するという。古くから信仰の対象となり,山頂近くに重山神社があり,そのすぐ下側に神王寺がある。重山神社の歴史は古く宝亀10年ごろの創建と伝え,祭神は滝姫神という。中根七郎氏著の「古座史談」によれば「滝姫神とは筑前に祀る宗像三神にて,多岐都比売命を主神と」するとある。山麓には,姫・姫川・神野川(このがわ)・古座(神座(こうざ))のように,当社の祭神にちなんだ集落名が見える(続風土記)。神王寺は重山神社の神宮寺で,高野山真言宗。弘法大師の開基と伝え,弘仁または天長年間の創建とされる(古座町文化財のしおり)。山麓にミカンのパイロットファームが広がり,近郷の学童や家族連れのハイキング客でにぎわう。登山道は数本あるが,国道42号からは古座町神野川を経て,車で10分足らずで山頂近くに至る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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