加太湾
【かだわん】

和歌山市の北西部に位置し，大阪府と和歌山県の境をなしている和泉山脈の西端部が断層運動により紀淡海峡に沈んだ沈水海岸である。紀淡海峡に沈む和泉山脈西端部は白亜系の和泉砂岩層からなり，北側の大川峠と南側の鉢巻山がその中間部の城ケ崎を挟んで北に深山(みやま)湾，南に加太湾をいだいて紀淡海峡に沈んでいる。加太湾の海岸線は北端の城ケ崎から南端の加太谷川河口，加太港に至る約1.5kmの円弧状の湾で，その背後には高さ50mから70mの断層崖山地が湾に迫っている。したがって湾の北部は海食による岩石海岸である。しかし南部は湾の南端へ流出する加太谷川の運搬した土砂により砂浜海岸を形成し，その背後の小規模な砂丘や三角州には加太の集落をのせている。このように加太湾の海岸は変化に富んでおり磯遊び・海水浴・潮干狩の楽しめる観光地である。加えて加太湾の沖約2.5kmに地ノ島，約５kmに沖ノ島が浮かび両島は「友ケ島」として加太湾付近の風景を一層美しいものにしており，瀬戸内海国立公園の一部をなしている。また加太湾付近は沿岸漁業が盛んで特に鯛の一本釣りは有名である。近年大阪，和歌山方面からの釣り客が多く遊漁船による観光漁業者も多くなっている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7170983