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蕪坂
【かぶらざか】


カブラ坂・鏑坂とも書く。海草郡下津町小畑と有田(ありだ)市宮原町畑にまたがる坂。下津町から拝の峠を通り,白倉山(454.8m)の稜線を越えて有田市に至る熊野古道は,「名所図会」によれば,「同村(沓掛村)より八町,峠に茶店あり。或は言く,(万葉集に)〈木国之昔弓雄之響矢用鹿取靡坂上爾曽安留〉とあるによるに,鏑もて鹿を射し坂なれば,鏑坂と名けしにやといへり」とあり,畑を過ぎるあたりまでをいう。古代から中世・近世を通じて熊野に向かう幹線道路であったため,この付近には四国巡拝供養碑や地蔵尊道標,蕪坂王子社跡,また,近くに山口王子跡などあり,歴史を尋ねての散策コースといえる。特に秋は一帯がミカン山で覆われ,下津港が眼下に広がり,徳川家ゆかりの長保寺も近い。また,北方には和歌浦湾や,海南・和歌山両市など紀北臨海工業地帯の展望に恵まれた景勝地。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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