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奇絶峡
【きぜつきょう】


田辺市上秋津にある峡谷。河口から約7km上流の右会津川流域で,「続風土記」には「川中奇勝山峡をなすもの其間一里余にして秋津川其間を流る」とみえる。大小無数の奇岩の間を清流がほとばしり,春のサクラ・秋の紅葉など,変化に豊んだ四季の渓谷美が展開する。大正末年にサクラが植えられて以来サクラの名勝としても知られる。古第三紀層の砂岩帯である三星山・高尾山の山塊に,先行谷状の横谷が形成され,河川勾配も急である。大正8年に開設された秋津川水力発電はこの急流を利用したもの。奇岩の石質は硬く,石材や庭石に重用されたが,田辺南部海岸県立自然公園に指定されて以来,景観保護のため採石は禁止されている。昭和41年,滝上の絶壁に磨崖大仏(最大は7.3m)が刻まれた。これは堂本印象画伯が描いた三尊(阿弥陀仏・観世音菩薩・勢至菩薩)を刻したもので,新たな景観の1つになった。一帯には文人墨客の句碑や歌碑,山地新道の記碑もある。右会津川右岸を主要地方道田辺十津川線が通る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7171190