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紀見峠
【きみとうげ】


地元では「きいみとうげ」ともいう。橋本市柱本と大阪府河内長野市天見との境にある峠。標高380m。峠名は,和州からこの峠に至ると,紀州の国を一望できることにちなむ。地形上は葛城山脈の東部にあり,東に金剛山(1,112m),西に岩湧山(897.7m)が連なる。したがって標高380mは,東の千早峠の780m,西の蔵王峠の520mよりかなり低く,通過点としては最も恵まれていた。中世以来,京都や西国から高野山への参詣道の峠として,特に近世になって通行者が多くなり,峠集落としての宿場が発達した。しかし,国鉄和歌山線の開通(明治33年)や,南海電鉄高野線の開通(大正4年紀見峠トンネル開通)により,峠道を通る参詣客の数は激減した。昭和7年県道が開通,同32年峠越えの定期バスが開通,同37年には国道170号に昇格するなど紀北と大阪を結ぶ重要な道路の通過点となった。しかし,昭和44年紀見トンネルが開通してからは一般の交通路としての役割は失われた。紀見トンネルは全長1,453.5m,幅員9m(車道7m・両側歩道1m),高さ4.5m。昭和44年3月完成,総事業費9億2,100万円。トンネルの完成により通過時間は峠越えの旧道に比べて,約20分短縮され,また,渋滞・がけ崩れ,冬期の積雪・凍結などによる交通途絶もなくなり,国道170号は大阪と直結する南北の幹線産業道路として,さらに,高野山に連絡する南紀方面への観光道路として,大きな役割を果たす道路となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7171306