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潮見峠
【しおみとうげ】


西牟婁(にしむろ)郡中辺路(なかへち)町栗栖川の西端にある峠。標高600m。槙山の山腹,近世熊野街道中辺路の要衝。地名は,本宮(ほんぐう)方面から来る中辺路で最初に滄海を望める峠という意味という(続風土記)。戦国期には関所があり,また,天正13年の豊臣秀吉の紀州攻めの際,地元豪族の山本・目良・湯河氏が防戦した古戦場でもある。西方の田辺寄りの峠には「道成寺物語」で有名な清姫が逃げる安珍の姿を眼下に見,くやしさでねじれたといわれる捻木のある捻木(ねじき)峠がある。捻木杉の根元に役行者の石像がある。元禄2年の「紀南郷導記」には峠に「茶屋二軒有り……此峠ヨリ海上ヲ望ミ見ルニ万境一瞬ノ内ニ有リ」とあり,寛政6年の「熊野巡覧記」には茶店の泊りもよしと述べている。明治43年に仮定県道を朝来(あつそ)経由に変更するまで人々の往来も多く,主要道路であったが,現在は林道になっている。ハイキングコースとして知られ,2軒の茶屋跡は杉木立の中に埋没している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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