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将軍山
【しょうぐんやま】


西牟婁(にしむろ)郡大塔(おおとう)村と日置川(ひきがわ)町にまたがる山。新生代古第三紀砂岩層で,大塔山地から延びる支脈にある山。地図には748mの地点を将軍山としているが,実際には700~800mの尾根が連なり,主峰がないため土地の人々も山並み一帯を将軍山と呼んでいる。緩やかな山並みで尾根には平坦地が多く,幼年期の山容を呈する。山並み一帯は植林され,手入の行き届いた民有林が広がり,尾根近くにはアカガシ・スダジイ・サカキ・シキミ等多種の自然林が残る。また紀州寒蘭の産地として全国的に知られる(大塔山系の自然)。地名の起源は日下将軍義竜(謙徳とも)が部下とともに都落ちし,当地に居を構えたことに由来するという(三川村郷土誌)。日下将軍は楠木正成に追われたとも,信州から来たともいわれる。付近には屋敷跡・茶坊主の宮の伝承地もあり,また将軍川・将軍滝の地名も現存する。渓流は入り組んでいるが,急流は少なく,数少ない急流の1つ将軍滝は日下将軍の投身自殺した場所といわれる。鳥の飛ぶ姿に敵の来襲を感じた部下の報告で,末路を知った将軍は部下を解放し,滝に身を投じた。将軍滝では,旱魃の際村人は将軍をたたえ,獅子舞をまわし,「空は晴れても水田は乾く,雨を下され義竜さま」と歌って雨乞をしたという(南紀の俚俗)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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